祝! 円周率3.14 (2008.2.15.)



 「天才肌だよね」などと、
理T5組の宇野さんは、微妙にオブラートで包んで表現してくれました。

 「あの頃、私と同じ教室で、そんなことしていたの?」などと、
理T5組の和田さんは、駿台横浜校の同窓生として厳しい意見をくれました。

あぁ、お願いだから石を投げないで・・・・・・。


 「東大入試のリスニングより速い」などと、
ミス東大の小正さんは、さすが東大生な正確な評価をしてくれました。

 「このスピードで数字を言い続けられるだけでもスゴイよ」などと、
理T5組の北村さんは、常識人としての見解をコメントしてくれました。



 「1000桁? 1秒1桁で、15分はかかるだろ?」
 「うん。だから2分で言えるようになるまで、練習した」
 「ああ、なるほど」


このあたりは、常識人に対する配慮とも言えます。



 円周率1000桁暗記計画

日程:浪人中の、10月21日より、5週間。
予定:1日40桁、週休2日。
目標:「自分の限界を知る」



 トンデモない計画ではあるものの、冷静で計画的な様子は伺えます。
というのも、この計画のトンデモなさは唯一つ。

わざわざ浪人中のセンター試験直前にやる必要性が見あたりません


 確かにこの時期、特に浪人生の間には緊張が走ります。
そこで、予備校の先生たちは、
「目の前の成績表に惑わされず、今までの自分のペースで勉強を続けろ」
と、熱くなる浪人生たちに水をかけます。


 ぼく自身、判定はAからB、Cと下がっていきました。
浪人生は、「もっと勉強しなきゃ」の強迫観念との戦いです。
「ここで自信を失ったら負けだ」と思えればそれで十分なのですが、

「勉強しようと思うこと自体、修行が足りないせいだ」と考えたぼくは、
マイペースを崩さずに円周率を覚え始めたわけです。


 不思議ですね、円周率を覚えていると。
それまでは後ろめたさを感じていたアニメの再放送が、
後ろめたさの欠片もなく、純粋に楽しめるようになるのですね。



 でも、結局東大には受かってしまいました。
円周率を1000桁覚えきった途端に「俺は天才だあ」という気分になって、
気づいたら合格通知が届いていた罠です。
人生、万事塞翁が馬、という感じですね。


 何となく、
「ぼくが東大に入学したのではなく、東大がぼくを必要としていたから」・・・
そう感じてしまうのは受験生の悟りの境地です。