ぼくが気づいた時には、 
高等部じゅうの生徒の間で「岡澤はストーカーだ」という噂が流れ、 
亜友ちゃんは自殺しそうにブルブル震えていて、 
仲のよい5期生のタッちゃん(仮名)は毎日ナイフを持ち歩き、 
「亜友を殺してやる」と言っていました。
  
ある日、タッちゃんが本当に亜友ちゃんに向けてナイフを振り回しました。 
ぼくは、状況が理解できませんでした。
 
  
「岡澤はストーカーだ」という噂は、亜友ちゃんとケンカを始めた頃からです。 
要するに、遠山先生も知っています。 
「岡澤はストーカーだ」という噂が流れているのを知りつつも、 
遠山先生は注意をせず、 
違約金で手を打つという和解を黙認したわけです。
  
「言葉によるイジメを教師が助長した」状況にもかかわらず、 
無事に副校長をやっているあたりが素敵です。 
ましてや、お金のやりとりの黙認は、かなり悪質です。
  
そこまでして、それでもぼくが約束を破ったのに怒った亜友ちゃんは、 
ぼくを交番に連れていって「ストーカーだ」と大騒ぎしました。 
非常に頭の悪い話ですが、単なる痴話ゲンカです。
 
  
ぼくが理解している当時の状況は、 
それでも他の女の子と親しげにしているぼくに亜友ちゃんがブチ切れ、 
「岡澤はストーカーだ」と学校中を走り回ったそうです。 
ぼくは実際を見ていないので分かりませんが。
  
「岡澤はストーカーだ」という噂が高等部で広まると、 
タッちゃんは、「ストーカー野郎の手下」とイジメられたそうです。 
そこで亜友ちゃんに文句を言いに行ったところ、 
コテンパンに言い返され激怒し、ナイフを持ち歩くようになりました。
  
話に聞く限り騒ぎは亜友ちゃんの自業自得ですが、 
ついに友達に叱られ、亜友ちゃんは自殺しそうなほど苦しみます。
  
たいへん頭の痛い話ですが、騒ぎはそれだけです。 
亜友ちゃんを自殺しそうなほど苦しめた犯人としてぼくが捕まり、 
問答無用で謹慎処分=停学となった、話はそれだけです。
 
  
比較的に頭の痛い話ですが、それだけの話。 
しばらくして、ぼくの無実が判明すると、 
何故か学校をあげての隠蔽工作が始まってしまいます。
 
  
単なる痴話ゲンカに隠蔽工作をしたとはそういうことです。
 
  
 
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