岡澤の本音



常識的に考えて、
「岡澤はストーカーなんだ!」と学校中を走り回られたら、
たとえこちらに落ち度があろうと、逆ギレして当然です。

亜友ちゃん、カルシウムが足りなかったのかな?

カルシウムの足りていた岡澤が何を考えたかというと、
「亜友の暴走を止めるのはドラえもん3人がかりでも無理だ。
 この際だからエネルギー切れするまで暴走させておこう。
 ストーカーという悪名は迷惑だが、最後に亜友と仲直りすれば帳消しだ」

極めて冷静な判断ですね。

PTA学年委員長の亜友ママに助けを求める方法もありましたが、
そんなことをすれば亜友を敵に回します。

たとえストーカーという汚名で全校生徒を敵に回そうと、
亜友1人を敵に回すよりは賢明な判断です。
亜友は、ぼくをとっちめるためなら警察をも恐れぬ勇気ある少女です。
次は、自衛隊の出動要請をしたとしても不思議はありません。


亜友と仲直りすれば、ストーカーなんて噂は帳消しですから、
男は黙って亜友を見守ろうと、そういうわけです。

それでも、学校内のことですし、一応教師には報告しておくわけです。

「亜友に警察を呼ばれました。調べておいてください」
「亜友が学校じゅうを走り回って騒いでいます。報告しておきます」
「亜友が自殺しそうです。教師として何とかしてやって下さい」

報告を受けただけでは、教師は何もしてくれないんです。

「どうしても教師の手を借りたかったら、岡澤、頭を下げろ」というので、
「自殺しそうなのはぼくじゃないのに、頭は下げません」と返事したら、
「彼女が自殺しそうなのはお前のせいだろ」と答える。

「たぶん・・・違います」とこっちも返事をする。
「そんならどうして自殺するんだ?」と言われ、
「知りません。本人に聞いてください」と答える。

「だったらぼく1人で何とかします」と話を打ち切る。


ぼくが考えたこと。

「亜友の自殺や怪我さえ食い止めれば他はどうでもいいや。
 亜友が無事なら、いつか仲直りできる。
 そうすれば、少々の汚名は消えてなくなるさ」

高校生として、ちょっと不健全です。