詐欺の王道  2009.7.7.

−公文国際心理学− 



すべて偉大なものは、美しい狂気から生まれる。  −Platon





 ・悪魔の論理パズル


 何か言ってみて下さい。
もしそれが本当なら、ちょうど10ドル(1000円)の報奨金を差し上げます。

 間違っていた場合でも報奨金は差し上げます。
ただし、この場合の報奨金の金額は、決して上記の金額と同じくはできません。



 −レイモンド=スマリヤン著「決定不能の論理パズル」







 ・悪魔的で残忍な回答


 −あなたが私にくれる報奨金の金額は、
正確に10ドルではないでしょうし、正確に100万ドルでもないでしょう




 仮にこの報告が本当だとすると、約束では正確に10ドルの報奨金です。
しかし、「正確に10ドルではない」と言っている以上、正しい報告では有り得ません。

 ならば、報奨金の金額を10ドルには設定できません。
すると提案者は、正確に100万ドルを支払わなければ契約違反になります



 まあ、仮に法廷に持ち込まれた場合、
「上限を定めない報奨金の契約は無効」などと判断されることになるでしょう。

 数学でも、同様に、
「正則性の公理に反する」として、集合論では却下されます。









 ・政局の論理パズル


 −政治家の約束

 「何か面白いことが分かったら、報告して下さい。
もしそれが本当なら、亜友ちゃんとの結婚に協力してあげられると思います

 「間違っていた場合でも、努力は評価します。
ただし、この場合には亜友ちゃんとの結婚には協力できませんよ



 −岡澤の回答

 「先生は、亜友との結婚には協力してくれないでしょうし、
国会で二人の結婚妨害に関して、安倍内閣の責任追及もしないでしょう



 スマリヤン博士は、偉大ですね。
博士の方針に従ったら、翌週から国会が炎上し、半年後に内閣が倒れました









 ・図と地の主客転換


 漫画は、輪郭で絵を表現します。
「輪郭だけで絵が描ける」ということは、輪郭は情報量の宝庫と言えます

 数学では、ジョルダンの曲線定理。
「輪郭が内部と外部を分ける」という明白な事実は、実は証明が非常に難しい。

 2005年、やっと証明が完成したそうです。



 詐欺師にしても、手品師にしても、
「図」の部分に人々の注目を集めておいて、「地」の部分に絵を描きます

 そして、一瞬で「図」と「地」の転換。
観衆は新しい絵への驚きと、トリックを見破れなかった悔しさを覚えます

 接点大賞は、こうして生まれます(*)



 もう少し、極端に単純化するなら、
人間は、「必然」的な並びを「図」だと思いこみ、「偶然」を「地」と考えます

 だから、詐欺師や手品師の技術は、
いかに偶然を装ってインクを落として、「地」の部分に絵を描くかと言えます

 必然より必然性の高い偶然です。



 政治家の言動が注目される理由。
狼少年と同じで、まさか本当に偶然の失言とは、誰も考えていないからです



(*)・・・・・・接点大賞のページを参照。02pub-tokyo.html(←リンク)





 ・詐欺の見破り方


 先の、ジョルダンの曲線定理。
数学的な厳密さで、「図」と「地」を判別するのは不可能に近いのです

 最終的な証明はコンピュータ。
現在の人類の知能では、閉曲線ですら「図」と「地」を判別できない

 詐欺を見破るなんて、無理です。



 だから、メタ認知の問題です。
IQ140の人は、IQ160未満の詐欺師に騙されることはない、だけです。

 ジョルダン曲線の話で言えば、
複雑な閉曲線を描くためには、解読する人よりやや高い知能が必要

 数学的に厳密な理屈なのです。



 結論:頭のいい人の話は、注意して聞こう





小川三四郎探偵事務所
代表取締役社長 岡澤代祐
sanshiro@sastik.com