名前をなくした女神


 甘いっ!


公文国際学園4期生には、息子の親友の恋人を殺しちゃった母親もいるし、

夫の愛人から会社を取り返そうとして、警察に殺人容疑をかけられる母親もいるし、

この殺人事件を揉み消すために、娘の同級生にハニー・トラップを仕掛ける母親もいる。


 −何か大切なものをなくした女神−




 生徒が次々と不審死を遂げ、
次々と流れてくる悪意のある噂に、翻弄され続けるママ友たち

羽生ママ 「岡澤君が、うちの息子を殺したのよ」
石黒校長 「我が校の卒業生の岡澤君は、統合失調症のようですが殺人犯ではありません
後輩ママ 「また、数学部の子が死んだわ

岡澤ママ 「ふざけないでよ。うちの代祐は、小学5年生の時に1ヶ月も意識不明で、やっと助かったのよ!」
亜友ママ 「うちの娘だって、5歳の頃から知能の発達が止まってしまって、岡澤君に奇跡的に助けられたのよ!」



 −最終話 「学園の平和を取り戻すため、なぜか赤穂浪士たちの血判状が集まる」


『ママ友忠臣蔵』







−第1話 マンションから出てきたシーンの差し替え版−



 玲奈ちゃんの事件を追って、元恋人が探偵事務所を作った。

「14年前の恋人を追い続けて、なかなか出来ないわよねえ」
「本当。今どき珍しい純愛よね。応援しちゃうわ」


 探偵事務所を出た直後、

「何あの探偵事務所。周囲の同情を引きたいって魂胆が見え見えじゃない」
「今どき、ドラマでも流行らないわよ。演出が露骨っていうか」






−第□話 礼服を着て受験票を出しに行くシーンの差し替え版−



 ところが、彼女の親族が来るかも知れない、相模原市の集会。
「玲奈ちゃんのお母さんに会えるかと期待して、礼服で来たつもりでした」の、礼服に黒タイ。

「わざわざ弁解したってことは、代ちゃんが自分で礼服を選んできたのよ」
「さすがに、お母さんに、『礼服で行きなさい』と言われたのよ」
「そもそも結婚前の27歳が、礼服なんて持っているの?」

 お受験専門の塾で身につけた知識は、こういう場所で失敗する。
お受験当日の面接には礼服で来ても、同級生の遺族の前で礼服が出せないようじゃ


 要するに、今回の事件。
幼馴染みの恋人が殺されて探偵社というのは、派手な演出だけで中身が見えない。

 「あんな探偵社、俗でだめだ。まるで風呂屋のペンキ絵だ。芝居の書き割りだ」

そういう批判は、絶対にあった。



 ここで、日本の伝統に理解のあるぼくだが、
家庭の教育というよりも、国語戦隊コクレンジャーの戦術を学んだだけじゃないか?

 ああ、それで手紙の書き方にこだわるのか。







 −第9話 彩香ちゃんのカンニングシーンの差し替え版−



亜友 「岡澤。お前、どうして全部埋まっているんだよ!」
岡澤 「そりゃ、まあ、数学部だから」
亜友 「いいや。私が後ろを向いたとき、お前の答案はほとんど白紙だった」
岡澤 「えっ、試験中に後ろを向いたの?」
亜友 「黙れ。答案返却の時にお前の答案を見せろ。カンニングだったら、先生に言うぞ!


亜友パパ 「そいつ、意外に大物になるんじゃないか?」
亜友ママ 「だから、そんな男の子と仲良くするのは止めなさいって言ったでしょう



 −岡澤はクラスで2人だけの100点、カンニング疑惑は晴れる−



岡澤 「最近よく話しかけてくるけど、君のお母さんはぼくと遊ぶのを許してくれたの?」
亜友 「うん。『優しくて数学が得意な素敵な男の子』だって褒めてたよ」


だから、事件時ぼくと亜友が出会う前の亜友・母には、玲奈ちゃん殺害動機はないんだ。



 おねしょシーンの差し替え版は、記憶が曖昧なので省略。







 −最終話 これから再出発という流れの差し替え版−



「他人の、悪意ある噂話に流されて、子どもたちを傷つけていたのは私たちなのよ」
「この学園で殺人事件が起きたなんて、そんな悪意ある噂は相手にしたら負けよ」

−公文国際学園連続殺人事件 被疑者死亡で書類送検−

「告発者の善意を無視して、入学させた親の顔が見てみたいわ」



 学校は倒産、転校を余儀なくされた子どもたち。

「貴女が公文国際学園からの転校組だからって、私は変な目で見たりしないから大丈夫よ」

ママ友地獄第2章 始まる