真相解明「小脳出血」


 玲奈ちゃんの告白の、1週間後に小脳出血。

公務員の心理技官レベルでは、この因果関係は解明できそうにない。




 普通なら想像もつかないだろうが、
同級生の女の子の愛の告白と、ぼくの小脳出血に因果関係が見つかった

 ただ、小脳出血は時間の問題だった。
だが玲奈ちゃんの告白の1週間後というタイミングは、決して偶然ではない。



<<問題>> ぼくの小脳出血の直接的原因を推定せよ。


条件@ ぼくの小脳の血管には、出生時の事故で生じた傷があった。


条件A 7歳のぼくは、2歳の妹の子育てをすることで評判だった。


条件B ぼくは、当時から非常に頭がよい。


条件C 玲奈ちゃんは、1995.1.11.頃に、ぼくの机にラブレターを置いた。


条件D 1995.1.15.には、ぼくは四谷大塚の資格審査試験を受験した。


条件E ぼくは、1995.1.18.夕刻に、小脳出血で昏睡状態となった。






<<解説>>

 条件C、D、Eの流れを見ると、
塾のテストを終え、安心してラブレターで頭がいっぱいで、すぐ倒れる

 人は、これを運命のイタズラと呼ぶ。
幸せの絶頂の高血圧で、脳卒中に倒れたとは、誰も真剣には考えないのだ。

 だが、ぼくは幸せの絶頂だったのか?





 まず、条件@を虐待の痕跡と解釈。
次に条件Aから、この妹の方も虐待の被害にあっていた可能性を疑う

 兄が、自発的に妹の世話をする家庭。
それは幸福の証ではなくて、よほど大きな問題を抱えている証拠だと考える。

 しかも、その状況で塾に通っている。
この塾通いも幸福の証ではなくて、親の精神異常性の証だと解釈できないか。



 そこに、ラブレターが飛び出す。
誠意ある男なら、「彼女を自分の家の問題に巻き込みたくない」と考える

 特に、世話好きの玲奈ちゃんだ。
ぼくの家庭の事情を知って、首を突っ込んできたら絶対に危険な目をみるはず。

 母親に殺されかけた、2歳の妹。
例えば、9歳のぼくが、正当防衛として母親の殺害を決意していたら、また複雑。



 仮に、たとえ正当防衛であろうと、
玲奈ちゃんと付き合っている最中に、母親を殺害するわけにはいかないから

 特に、塾通いの解釈に書いたように、
当時の母は、いつ精神病の発作を起こしてもおかしくないくらい、悪い状態だった。

 母親に殺されかけた、2歳の妹。
兄は9歳になって、次の発作の時は母親を殺害してもやむを得ないと考えていた。





 そこまで頭が働く、男である。
妹への虐待を繰り返し思い返したせいで、PTSDの発作を起こしたわけだ

 なるほど、それなら話は繋がる。
PTSD発作中の高血圧が原因で、脳卒中というのなら、医学的因果関係がある。

 ラブレターが、PTSDを誘発。
「不幸な家庭は、それぞれに不幸である」から、あり得ないことではないのである。





 なるほど、確かに因果関係である。
でも、この因果関係を推理できたぼくって、たとえ本人だとしても凄くない?



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