公文国際学園の追憶

  −もしも円周率暗記型サークルの女子マネージャが 岡澤代祐のウェブサイトを読んだら−





 1 1996年の美術作品 (冬)


 中1−A時代、美術で絵本制作をした。
岡澤は、「ぼくは数式に美を感じます」と、楠田先生に言い出した

 楠田先生は、岡澤の美術を認めてくれて、
岡澤の色鉛筆の、立方体から数が溢れてゆくイメージを認めてくれた。


 この絵本は、あまり良い思い出ではない。
完成直前期の岡澤は、「玲奈ちゃんが自殺したのかも」と悩んでいた

オイラーの公式を、そのまま描いたページもあった。

フェルマーの定理を、そのまま書いたページもあった。

 でも、玲奈ちゃんが自殺したかもしれない。
絵本は完成して捨てたような気もするし、完成を断念して捨てた気もする。


 岡澤は、楠田先生に敬意を払っていた。
よほどの美術教師でもない限り、数式の絵本の提案は笑い流すだろう

 それで、玲奈ちゃんの自殺に悩む岡澤は、
自分が数式の絵本を創ろうと思った動機と、玲奈ちゃんの話をした気がする。

 他の教師には、話した記憶は全くない。
学年末に学校を去る楠田先生は、岡澤に連絡先を教えてくれた気もする


 社交辞令だと思って、そのまま忘れた。
だが美術家に、数式の絵本を作品に創ろうとした13歳は、貴重だと思う

 数学オリンピックの受験も、話した。
同級生に自慢するつもりはなかったのだが、美術室に残っていた女子に聞かれた。

 その1人が、市外局番 0298 の・・・・・・



 楠田先生の担当は、A組とC組だったかで、
美術室で岡澤の絵本を見つけたC組の生徒が、大騒ぎになったという話

 寮のルームメイトの、Aと羽生から聞いた。

 すると、○愛○加も、この絵本を見たわけか。
そしてその数式の絵本の作り手から、1通の詩が同封されたラブレターねえ







 2 1997年の表現祭 (夏)


 岡澤の中2−Cでは、恐竜展をやった。
砂絵作成班に分けられた岡澤は、班長のS嬢とさっそく対立した

 「その方法では、絶対に上手くいかない」
そう宣言した岡澤は、1人でボイコットして数学部の仕事に集中していた。

 1人ボイコットでは、特に実害もなく、
S嬢に時々攻撃される以外は、そのまま表現祭は近づいていった。



 ところが、肝心の砂が集まらなかった。
S嬢は、「岡澤君がチームワークを乱すから!」と怒り心頭である

 岡澤は、「それ見ろ」と言わんばかり。
「なら今週末に、俺が砂を集めてくるよ。バケツ一杯で足りるだろ?」と。

 この発言には、周りの生徒も冷や冷やで、
「岡澤君。さすがにS嬢に謝った方がいいんちゃう?」と、心配顔の寮生U君。



 だが、考えてもみれば砂を集めるだけ。
岡澤は父親に車を出してもらい、U君を連れ江ノ島海岸まで往復した

 岡澤は、チームワークで砂を集めるより、
誰か1人が犠牲になって砂を集めに行った方が効率的だと、知っていただけ。

 すると、S嬢と岡澤の立場逆転だが、
「俺は数学部の仕事があるから、後は任せるよ」と言って、完全に身をひいた。



 我ながら、凄く鼻持ちならない奴だ。
これに懲りた岡澤は、中3以降、表現祭のクラス企画に手を貸さない

 豆知識だが、この年の表現祭は何故か6月。







 3 1998年のラブレター (春)


 クラスには馴染まない岡澤だったが、
中学3年の春に、中2−Cの同級生だった女の子に、ラブレターを書いた

 その手紙というのが、気障というか、
茶封筒に匿名で手紙を入れ、自作の詩を一編同封しただけというシロモノである。

 岡澤の最愛の恋人は玲奈ちゃんで、
玲奈ちゃんに対する後ろめたさと隣り合わせで、こういう手紙になったのだ。



 ところが、男としてはどうなのか、
「匿名の手紙」も、「自作の詩」も、両方とも玲奈ちゃんの思い出の方法

 詩というのは、小学6年の退院後、
自分の体の障碍を「一本の杖」という題名で和田傳文学賞に応募して入賞した。

 岡澤も、渋々書いた感じだったが、
玲奈ちゃんに褒められ二人の思い出の詩として、良い感じに心に残っていた。



 それで、彼女に贈った詩というのも、
決して愛の詩ではなく、体の障碍を船に喩えた「大航海」という詩だった

 手紙の方は、ほとんど照れ隠しで、
「あの『大航海』の詩、今じゃ大後悔だったりして」なんて汚い字で書き綴って。

 その「匿名の手紙」というのは、
玲奈ちゃんが、岡澤の小脳出血7日前という絶妙のタイミングで告白した方法。



 男として、どうなのか知らないが、
中学3年の岡澤は、昔の女の面影が強く残りすぎた手紙を、彼女に渡した

 ただ、数学だけが有名だった岡澤。
その岡澤がこんな手紙を書いたことは、女子生徒からはわりと好印象のようで・・・

 でも、岡澤には責任取れないので、
「このラブレター執筆に関して、よい子の皆さんは絶対に真似しないで下さい」







 4 1999年の体育祭 (春)


 今になれば、「そんなこともあったなあ」だが、
高校1年の体育祭では、結団式ボイコットとか、そういうこともやっていた

 これは岡澤1人ではなく、井手部有志数名で。
普段はクラスでのけ者なのに、こういう時だけ協力させられるのは間違っていると。

 リーダーの TAMAKI はこの運動には反対だった。
だが身体障碍者の岡澤に、体育祭への参加を強制するのは酷だという意見もあった。



 岡澤は、玲奈ちゃんを探している最中。
「玲奈ちゃんが無事に見つかるまで、身体を使う気になれない」心境なのだった

 だが、そんな事情は説明する気も起きず、
また、同級生たちがこの事情を知っていたら、岡澤に対しては何も言えなかったはず。

 岡澤の気持ちを知らない教師に同級生。
特に数学オリンピック日本代表候補の岡澤の奇行は、周囲の憶測を生んだはず



 「岡澤は、俺たちバカ連中の遊びには付き合ってられないんだぜ」

 「いつも数学の授業中は、俺たちのことを見下していたんだろう」

 「さすがに岡澤のこの言動には、目に余るものがあるな」




 「2」のエピソードは、嫌味な話だが、
それ以外に、「岡澤は同級生を見下している」系の話を思いつかないのも事実

 逆に言うと、岡澤はそういう誤解が嫌で、
あえて同級生との交流には消極的で、数学部の先輩との交流が多かったのだろう。

 すると、同級生の反感を買ったこの話だが、
「岡澤を介護してくれた最愛の玲奈ちゃんの自殺」に、誰も気付かなかっただけだ。


 「1」と「3」は、単に病的なだけで・・・。







 5 1999年の表現祭 (秋)


 相変わらず、クラス企画から遠い岡澤。
そんな遠足の帰り、足の悪い岡澤はバスの中でY嬢に席を譲られた

 席は、担任のM上先生のすぐ近くで、
Y嬢たちはその傍で、表現祭の劇の「背景」をどうしようか話している。


 担任 「岡澤君は、背景とか書いたりしないの?」
 岡澤 「ぼくは、クラス企画には手を貸さないことに決めているんです」 (笑顔で)
 担任 「そんな意地悪言わないで、書いてやれよ。席を譲ってもらったんだろ!」
 岡澤 「Yさん。どんな背景が欲しいの?」

 Y嬢 「ニューヨークの下町で、寂れたアパートの前に壊れた車が止まっているの」

 担任 「嫌がっていた割には、随分とうまいこと書くじゃないか」
 岡澤 「数学部で、立体図形を書くことには慣れているんですよ」

 Y嬢 「ホント。これなら使えるかもしれない。もう一枚、お願いできる?」


 と、Yさんの審査には通ったものの、
「あんな奴の書いた背景なんて使うことない!」という男子の猛反対で、不発

 この年、高1−Aの演劇は優勝でした。
「クラスの男子が俺に対する反感で団結したからかな?」というのが、岡澤の感想。

 でも、この推測には実は信憑性があり、
翌年の岡澤のクラス=高2−Aも、演劇部門でぶっちぎりの優勝を飾っている。



 ところで、この話、今になって思うと、
Y嬢は、誰かに聞いた噂話ではなく、自分で岡澤の障碍に気がついたんだろうな

 ああ、そうか。それで・・・・・・。







 6 1999年の表現祭 其の2 (秋)


 井手部の皆に誘われて入ったMMCの集まり。
表現祭企画代表を決める会議だったが、機嫌の悪い議長が八つ当たりを始めた

 議長は、顔と名前のみ知る女のA先輩。
こういうことは時々あって、その度にもう1つ年上の女、C先輩が彼女をなだめていた。

 会議は、A先輩のお説教になってしまい、
火に油を注ぐのが怖くて誰も何もできず、C先輩が学校に残っているかも分からない。



 小1時間経ち、誰かがC先輩を探しに行った。
C先輩と親しい岡澤は、C先輩なら努力を認めて許してくれると、手を挙げる

 亜友が、岡澤の手を掴んで制止する。
岡澤は、亜友の制止を無視して、真面目な顔で続けて質問する。


岡澤 「あの、すみません」
議長 「はい、何?」
岡澤 「その企画代表っていうのは、何かあった時、オロオロしていれば良いのでしょうか?」
議長 「・・・・・・」
岡澤 「オロオロするだけで良ければ、ぼくがやりますけれども」



 3期〜7期の部員一同の間に、
岡澤のあまりに突拍子のない発言で、「火に油を注いだ!」と緊張が走る

 あまりの発言に、A先輩も言葉が出ない。







 数十秒後、A先輩は岡澤の発言の真意を、理解する。


「(この子、本気で言っているのかしら?)」

        ↓

「(私の説明を、聞いていなかったのかしら?)」

        ↓

「(さっきも説明したでしょ。代表の仕事っていうのはね・・・)」

        ↓

「(そういえば私、代表の仕事を説明していない!)」

        ↓

「(この子、絶対に確信犯だ・・・)」





 そうなると、もう笑うしかなくて、
A先輩の笑いで会場が大笑いになった後、A先輩は会議を再開

 皆の心配をよそに、A先輩は冷静に、
代表の具体的な仕事を説明したら立候補者が出て、会議は終了した。

 照れ臭かった岡澤は、そのまま逃げた。
岡澤逃亡後、Y子ちゃんたちの真相解明で、岡澤の評判は上がった。



 A先輩の青春を責める気はないが、
玲奈ちゃんの死に苦しむ岡澤の転機となった事件として、大切な記憶







 7 2000年の表現祭に向けて (春)


 秋の表現祭に向けて、岡澤が作ろうとした映画。
そうか。亜友以外の同級生が、この映画の真実に気付いたのは2010年か



 別に書いた当時の、Sion.S. 嬢からの手紙に、
「札幌」に言われて気付いたんだけど、何で数学部の映画にヒロインが要るんだ?

 というような表現があって、
「そうか。彼女たちには、この映画の真相に気付くヒントが何もないんだ」と気付いた。


 この発見は、実に悲しい発見である。
Sion.S. から手紙を受け取った2000年8月の岡澤は、ショックで記憶喪失した直後

 つまり、Sion.S. に執筆動機を聞かれても、
岡澤の頭からは玲奈ちゃんの記憶が完全に消えていて、自分でも思い出せなかったのだ。

 本人ですら、手紙を探すまで忘れていた。
ましてや他人が、「岡澤の元カノの自殺」と聞いて、映画の脚本を思い出すはずがない。

 そう。映画は、玲奈ちゃんの思い出。
岡澤の昔話を知る羽生だけは、脚本を見てすぐに、その発見を岡澤に耳打ちしたけれど。


 前年から、羽生も妙な心配をしていて、
「俺のお袋が、お前の最愛の恋人を殺したのかもしれない」と、岡澤に相談していた

 当時の岡澤は、変な思い込みだと思った。
だが思い込みにせよ、そう打ち明けられると、玲奈ちゃんの自殺を誰にも言えなくなる

 ところが、羽生も段々と気付くわけで、
打ち明ける機会は逃したものの、黙って彼女の思い出を映画にするという暴挙に出た。

 それで羽生も、玲奈ちゃんの死を確信。
自分の母親が殺人犯だとは言えない羽生も、映画の真実を言わず、パニックになった。



 ストーカー騒ぎの真相は、羽生の願望で、
「岡澤が落ち込んでいる理由は俺のお袋の殺人じゃない。亜友に振られたからだ!」

 そこに、前年度の体育祭の悪評が便乗した。
そして岡澤の方は、羽生がパニックになっている殺人の告白が、真実だとは思えない。

 そんな羽生に、気を効かせる余裕もなく、
岡澤の周囲の女の子たちの目には、その映画が亜友といちゃつく材料にしか見えない。


 それで、皆に担がれた亜友が、退学の危機。
「これ以上女を自殺させだら、ぼくは立ち直れない」岡澤が、亜友を庇って謹慎処分







 8 2000年の体育祭 (春)


 という複雑な事情があったわけだが、
玲奈ちゃんの自殺に気付かない同級生たちは、この体育祭で岡澤を除名

 当時、ストーカー騒ぎの渦中の岡澤。
とても体育祭の気分でないので除名は有り難かったが、そういう理由ではない。


 −まあ、教師数名は知っていたんだけどね−
岡澤が、玲奈ちゃんの自殺を黙っていたばかりに生まれた誤解一覧。


亜友 → 岡澤は、私に隠れて女の子と遊んでいる。
達弥 → 岡ポンは、あの女(亜友)に弱みを握られている。

教師 → さすがに、岡澤の自分勝手は目に余る。
同期 → 岡澤は、同級生をバカにしている。



 岡澤は、嫌われていたわけではなかったんだね。
でも考えてみると、この話を繋ぎ合わせてみると、玲奈ちゃんの自殺に繋がる気も



同期 「岡澤は、同級生をバカにしている!」
岡澤 「訂正しろ! 俺は警察から裁判所まで、分け隔てなく平等にバカにしているんだ!」






















 9 2005年の探偵騒ぎ 前編 (冬)


 2005.11.14. の出来事。
「3」のラブレターの彼女が、明らかに不自然なタイミングでメールをくれる

 2005年は、○織&●織姉妹ともいろいろあって、
公文国際学園との喧嘩のことも含めて、彼女たちの二十歳の誕生日を機に決意した。

 それが、約2週間前のことで、
「もう終わりにしよう」の別れのバラの花を手渡して(*)・・・・・・・・



 岡澤は、警察と喧嘩するつもりだった。
東大法学部の彼女を巻き込むわけにはいかないという覚悟で、ひと夏悩み抜いた

 だから、彼女が二十歳になるまでは何もできず、
11.13. の日曜日に、「もう思い残すことはない」と覚悟を決めて、闇に走る決意をした。

 それで翌日、刑法や刑事訴訟法の本を買い込み、
午後6時頃、東京大学駒場キャンパスの正門に、「さようなら、東京大学」と挨拶をする



 でも、やっぱり寂しいわけで、情けないと思いつつ、
「もしかしたら●織ちゃんが、引き止めるメールを・・・」と、情報棟のパソコン端末に向かう

 だが、世の中はそんなに甘くなく、
岡澤のアドレスに届いていたメールは2件だけ、1件は明らかに商業広告のメールである。

 もう一通は、出会い系のメールだろう。

件名 : 「お久しぶりです。」

 どうせ、「この前のコンパ楽しかったね」とか、始まるのだろう。
だが商業広告の迷惑メールと思いつつ、人生最後のメールチェックかもと、丁寧に開く。







本文 : 「お久しぶりです。公文学園4期生の○愛○加です。お元気ですか?」



 岡澤は、情報棟の中で、その後1時間は涙が止まらなくなる。


(*)・・・・・・しつこいようだが、手を繋いだこともない。









 10 2005年の探偵騒ぎ 後編 (冬)


 デート商法でも、何かの勧誘でもない様子。
だが、何の用件もないのに週に3回も4回も、深夜3時に2000字メールは・・・


 ちなみに、この時期、
岡澤と●織ちゃんは、『東京ラブストーリー』の、カンチと赤名リカのような状況

 工事中の駒場図書館の外階段、
上ってゆく岡澤は、考え事をしていて彼女が降りてくるのに気付かずに通り過ぎてしまう。

 すぐに、「あれ?」とは思って、
一番上まで上って振り向くと、●織ちゃんは一番下の段で、岡澤の方をじっと見ていた。

 2年半後に、Youtube で観て、
階段での上下の立ち位置が逆なだけの、「東京ラブストーリー」はかなり胸にこたえた。



 それで、いろいろ調べて考えた結果、

仮説1 ○愛○加本人が、簡単には打ち明けられない問題を抱えて、本当に困っている。

仮説2 公文国際学園関連のスパイが、○愛○加になりすましている。

仮説3 ●織ちゃんが雇った別れさせ工作。



 仮説1を捨てられなかったのは男のサガだが、
学園がらみのスパイにしては、○愛○加を名乗る手口は、安っぽすぎると思わない?

 もちろん、岡澤も自覚はしていたさ。
でも、当時の岡澤の目には、仮説3も十分に大きな欠点を含んでいるように見えた。


 「ぼくの気をひきたいだけだったら、何で玲奈ちゃんを使わなかったの?

今になって思えば、最も適役の玲奈ちゃんは既にこの世にいないと、探偵社は突き止めた。



 ところが、玲奈ちゃんの自殺をぼくは記憶喪失。
「これは何か深い事情があるに違いない」と、○愛○加の周辺を探ってみることにした

 それで、2期生でも分からない○の兄貴の居場所を探し当て、
「うーん。愛○加から聞いていたけど、さすがに頭が良いんだね」とか褒められて、


岡澤 「7年前は、妹さんにラブレターなんか書いたりして」
兄貴 「そんなことも、あったねえ

とか、

岡澤 「この『イグアナ』のアドレス、妹さんのですか?」
兄貴 「そうかもしれない。愛○加、イグアナ好きだもん

とか、いろいろあって、


 その後、○愛○加に、メチャクチャ叱られました。
さらに○愛○加は、「私はもう結婚していて子どももいるのよ」と言い出します。

 「誰に、『そう言え』と言われたんだよ」と思った岡澤は、
小川三四郎探偵事務所の初仕事として、○愛○加の住所を探し当てることに成功します。

 で、転居届の提出日が、前年の彼女の誕生日でした。
21歳のできちゃった結婚としては典型的すぎるパターンなので、調査を打ちきりました。


 次に会ったときは、○愛○加にぶん殴られると思います
という話を、市外局番 0298 の4期生の貴女は、当時の岡澤から聞いたと思います。




 岡澤が、依頼者を探していた理由は、
自分が人生の階段を転げ落ちようとしていた時、助けてくれた感謝を伝えたい

 でも、依頼者はそんなこと思っていない。
岡澤が逆探知を始めたことは、○愛○加から探偵社に報告が入り、依頼者に伝わるわけだ。


●織 「この、パラノイア数学者が、逆探知なんて何のつもりですか!」
岡澤 「君は、ぼくの命の恩人だ。この償いは何でもする。ぼくは、どうすれば良い?」
●織 「とっとと精神病院にでも受診して下さい!」


 それで、岡澤はこの探偵騒ぎに心を打たれて、
「殺人を含んだ自爆テロ」を封印し、「殺人を含まない自爆テロ」路線に切り替えた

 その結果が、2007年1月の web 告発に結実した。
この物語は、岡澤の人生の中でも最大級の奇跡だと思うが、誰からも祝福されない。

 心ある4期生に訴えたいのだが、
岡澤を祝福する気があるなら、○愛○加と●織ちゃんに、一緒に土下座して欲しい











 結末 2010年の真相判明 (推測 by 岡澤)


 2009年12月、玲奈ちゃん自殺の記憶が戻る。
根本の問題として、岡澤本人に殺人容疑がかかっているらしいことが判明する

 高校時代、さんざんストーカー扱いを受けて、
今さら玲奈ちゃんの自殺を聞いてくれそうな同級生が、どうしても思い浮かばない。



 それで、何かのきっかけでも手に入らないかと、
最後まで岡澤のことを敵視はしていなかった様子の、S嬢を思いつく。(「1」のS嬢とは別)

 最初からS嬢目当てでもないが、某社を訪問する。
社長が岡澤の経歴に興味を持ってくれたので、後日、玲奈ちゃんの自殺を打ち明ける。


 実は、高校1年の秋に、岡澤は TAMAKI を通じ、
S嬢から告白されたが、「親友の自殺」を口実に断り、TAMAKI には口止めした

 これは、S嬢のことを考えての拒絶だったので、
岡澤の事情も考えずに迫ってくる、亜友を追い払うことまではしなかったが。


 という展開が昔あったS嬢に、その話をすれば、
S嬢には荷が重く、悪いとは思ったが、話は4期生全体に伝わったはず

 高校3年間の、岡澤の態度の謎が氷解する。
岡澤の親友の井手部員一同に、「どうして岡澤を庇わなかった!」と矛先が向く。

 寝耳に水だったのは、井手部員の方で、
「自殺した岡澤の小学校時代の友人が、そんな大切な恋人だなんて聞いていないぞ」

 岡澤と親しかった仲間で、思い出すうち、
女の子たちが、「岡澤君の書いた脚本は、彼女を悼むための実話だったんだよ」と。



 という内部調査の結果が、全員に共有される。
「岡澤の恋人を殺したのは、羽生の母親らしい。岡澤は羽生を庇った」話も含め

 同級生には誰一人、悪意はなかった。




 コミカルに読みたい人は 「亜友ちゃんのリボン −モノクロ−」 (3008magical.html







小川三四郎探偵事務所
代表取締役 岡澤代祐
sanshiro@sastik.com