憧れの年上美人


 愛に年の差は関係ないというが、

ぼくが実年齢を隠していたせいで、あまり穏やかでない話になった。





 <<解説>>

 3年目の実年齢の告白は、愛の告白より衝撃だったらしい。
瞳の中で数秒間、激しい瞳孔反応が続いているのが、印象的だった。

 他の女性スタッフに、冷やかされながら3年。



 前に書いた28歳の彼女にしてみれば、
岡澤の実年齢が32歳だろうと24歳だろうと、誤差の範囲だろう。

 こちらのお姉さまは、たぶん、28歳ではないと思う。
たとえ、「バツイチ、コブ付きの37歳」−2008年当時−と言われても、ぼくは驚かない。



 だからあえて実年齢を明かさず、初めは少し背伸びをした。
ところが、かえって32歳の男からの誘いは、笑えない話だったのだろうか。

 むしろ、言わせてくれ。
「この国の女には、俺の年齢を正しく当てられる奴はいなくなったのか!」




玲奈 「ダイコン。少しは、相手の気持ちや立場も考えなさいよ」
岡澤 「いや、逆の立場なら、『20代の男が抱けるなら、たとえ結婚詐欺師でも悔いはない』はず」

玲奈 「この前、偽装マンション業者を押さえた話をしたでしょ!」
岡澤 「うん。購入動機には触れもしないで、なかなか良い場所に魚雷を放てたと自画自賛

玲奈 「どうして?」
岡澤 「復讐だよ。この年代の女は、性的欲求不満だけで連続殺人をやりかねない

玲奈 「バカ!」



 最近のキューバ危機のような緊張感。
たぶん、ぼくの口の構造が、あっさり求婚の科白を吐けそうに見えることに起因している

 だって、常識的に考えると、
一回り年下の探偵事務所社長に求婚されたなんて、親兄弟がまともに相手してくれるはずがない。


 最近、11月2日に何をしたかというと、
商売繁盛の酉の市で枡を買って持っていったら、20代の女の子にはウケが良かった

 その日、お姉様はいらっしゃらなかった。
お礼くらい言われても良さそうだが、酉の市の縁起物を持ってくる28歳の口と舌から何が出るか。








 なぜ、こんなことになったかというと、


1 小川三四郎探偵事務所設立当時の一番苦しい時期に、そばにいた女。

2 ぼくの命の恩人に似ている。


 どちらも、突っ込みどころ満載のエピソードだが、
とりあえず他人がとやかく言えない程度には重量級のエピソードである

 「2」に関しては、看護婦さんのことではなく、
当時藤沢市在住だったと記憶する吉本さん−吉本ケイ子−に重ねているのだと思う。

 1995年のぼくが11歳当時、彼女は女子大生で、
互いに主な移動手段は車椅子だったが、彼女はたぶん、現在も歩行器を使用している。


意地悪女 「彼女も障碍者だったんだ?」

意地悪女 「岡澤って、やっぱりただの障碍者フェチよね」