亜友・母の「トイレの神様」


 プチ家出に失敗して補導、しかし高校時代に奇跡の回復を遂げた亜友は、

結婚式で「お母さん」版の『トイレの神様』を歌うつもりだったが、現実は歌詞よりレベル高っ・・・・・・






 <<解説>>


 2011.2.14. 注目の新説が誕生した



 亜友との音信不通は、そんな殊勝なものでなく、
2011年の今も、「お母さんが岡澤の最愛の恋人を殺した」と亜友が思いこんでいるからじゃないか



 まあ、客観的に見れば亜友・母が怪しい。
だが、亜友・母が小川三四郎探偵事務所の容疑者リストに入りもしなかったのは、以下の理由


1 亜友・母には、犯行を推測させる失言やミス、八百長じみた言動が1つもない

2 それだけ完璧主義の人の犯行ならば、もっと上手に玲奈ちゃんを殺しただろう

3 娘の回復を切望している「社長夫人」の場合、殺人より病院探しが先だろう

4 医者も失敗した亜友の知的障碍の回復には、不確定要素が多すぎる

5 単なる略奪婚目当てだったら、社長夫人の目にもっと良い男はいただろう


岡澤は、亜友が本気で「私のお母さんが殺人犯」と信じている可能性を見落としていた。



 しかし、亜友が本気で思いこんでいるとすると、
小川三四郎探偵事務所が提示する、上記の5項目の問題点をどう説明するの?



岡澤 「亜友 『5の仮定が間違いよ。岡澤より良い男なんているはずない!』」

●織 「あの自惚れ数学者、どうしたら良いと思います?」
Y子 「岡澤先輩のために探偵を雇った人が、『自惚れ』とか言わないで下さい!」
玲奈 「ダイコンを追って3回も東大受験した人が、他人のこと言わないでよ!」
●織 「玲奈さんだって、岡澤さんの杖を見て飛び降りたくせに!」

●織 「貴女のお母さんが、あんな数学者のために殺人を犯したなんて、馬鹿じゃない?」
亜友 「だって、私のような知的障碍者を助けてくれたの、岡澤だけだった」

岡澤 「マイム、マイム、マイム、マイム。マイム、ベサソッ!」
●織 「何を騒いでいるんですか?」
岡澤 「ヘブライ語の勉強」

まあ、冗談はさておいて。














 しかし、亜友との音信不通・・・・・・
2002年3月の卒業から、2004年7月の亜友・母の卒倒まで、2年半も何してた?

 岡澤の方は、浪人とか鬱病とかあって、
亜友に真相を聞きに行ける状態でもなかったし、心の準備もできていなかった2年間。

 亜友は、どうして助けに来なかったか。


 これには諸説あったが、
大学1年の頃から計画的だったとしか思えない教育実習を考えると、

 1 自分の回復に有頂天で、岡澤のことなんか忘れていた

は、考えにくい。


 2 家族に説明できない部分が多く、身動きが取れなかった

が、従来の多数説だったが、


 3 亜友だって真実を知るのが怖かった

が、妥当ではないかと考える。





 ついに、この問題に終局的な解答が見つかる。(2011.8.31.)


ヒント1 中学2年の亜友の、初対面の岡澤への挨拶は「お菓子だよ。お菓子、お菓子がいっぱい!」

ヒント2 中学3年の亜友は、自分に優しくしてくれた男に騙されて、売春で補導された。



 ヒント2から順当に得られる結論は、
亜友・母 「貴女に親切にしてくれる男の人なんて、裏があるのよ。信じちゃダメよ!」


 ・・・だが、知り合って間もない男ならまだしも高校2年当時、亜友とは知り合って4年目だぞ?


 ところが、3〜4年前に気付いたヒント1の解読法がある。
亜友・父は、夫婦喧嘩をこじらせる度にお菓子を買ってきたから、娘がお菓子好きに育った





 つまり、娘を叱りつけた亜友・母の言葉には続きがある。

亜友・母 「貴女に親切にしてくれる男の人なんて、裏があるのよ。信じちゃダメよ!」

亜友・母 「お父さんだって、貴女にお菓子を買ってきてくれるのは、お母さんと喧嘩したときでしょう?」


 要するに、
知り合って15年になる男の親切をあっさり否定された亜友は、ぼくの親切に納得ができなかった


 ・・・・・・そりゃ、お母さんも卒倒するよ。





 亜友は、この問題に自分なりの答えを見つけたかった。
「岡澤は、私の知的障碍を治すために、わざと私を怒らせたんだ。でも、どうして?」

 亜友説1 お父さんの財産目当て

 亜友説2 岡澤にはもっと特別な悪意があった。

 亜友の、証明を求める数学愛好家の精神。
そんなの、ぼくの思考回路に汚染されたとしか言いようがないので、放っておく。


 正確には、最初から「治療」目的ではなく、
亜友を人工知能として観察するなら、怒った時じゃないと、通常の状態では静かすぎるのだ

 つまり、観察可能な規模で暴れてもらわないと、
ぼくには亜友のストレスの原因=知的障碍の原因が何なのか、推測すらできないわけである。


 ところが、亜友は観察者の事情を知らない。


 そこに警察が、一本の補助線を引いてくれて、
「実は岡澤君の最愛の元カノが、殺害されているんですよ」で、Q.E.D.





 それに関連して、2007年頃に聞いた噂話があるのだが、信憑性が揺らいでいる。


1 亜友・母=他界説

 聞いた噂では、自死の様子に聞こえたが、
端的には、この状況に苦しんで、自死あるいは病死という噂である。


2 亜友・母=生存説

 某腐女子の先輩に電話を頼んで、亜友に近況を聞いたことがある。



 「2」に対する疑問として、
生きているのなら、どうして岡澤を助けに来ないの?という疑問が続いていた。

 2009年末に、玲奈ちゃんの記憶も甦るが、
亜友・母の方が、岡澤より4年も早く玲奈ちゃんの死に辿り着いたのだから、仕方ない。


 でも、有力な反論が可能である。

亜友 「岡澤の web 告発を、止めなきゃ」
母親 「止めなさい、亜友。今、貴女が出ていったら、岡澤君の顔を潰すことになるのよ」

亜友 「で、でも・・・・・・」
母親 「大丈夫。いざという時は、お父さんが何とかしてくれるわ」

・・・・・・なるほどねえ。


 つまり、ぼくが玲奈ちゃんの両親への誠意を示している以上、
妻は夫の顔を立てて、3歩下がって影踏まずというのが、母親の教えなのだ







 再び、この頁に加筆したのは、さらに複雑な事情を思い出したから。
娘に真実を聞いて卒倒した、あの7年前の夏の日の昼下がり、亜友・母から聞いた記憶のある話


 −亜友・母は、自分の娘が加害者であることを知らない−

「岡澤君も、数学ではあんなに実力があったんだから、気を落とさずに頑張りなさい」

「PTAで一緒だった・・・・・・そう、『黒川さやか』さんのお母さんも、 貴男のことを心配していましたよ」


 確かに、黒川・母もぼくのことを知っている。
つまり、娘の想い人が学校で酷いイジメを受けているというので、加害者の母親に忠告したのだ

 要するに、遠回しな皮肉のようなものだが、
まさか自分の娘が加害者だとは思いもよらない亜友・母は、気の毒なほど善意に解釈したわけだ。


 この話の、どこが衝撃かというと、
あのストーカー騒ぎは黒川・母にまで心配かけたのかという、愛の重荷−オモニ−である











 ところが亜友の、高校卒業後すぐ岡澤を助けなかった判断は、
恋愛としては非常識だが、結局は岡澤の顔を立てた賢明な判断ということになる

 「そんなの偶然でしょ」と言いたいのは分かるが、
亜友は論理的に、「岡澤の周りには私の手に負えない問題がある」ことを察知した。

 だから、どんなに「数学者カップルは病気」と言われようと、
助けに行かなかった亜友は賢明だったし、助けを待たなかった岡澤も賢明だった。



 恋をしてなおかつ賢明であろうとする数学者は病気です









 という最新の見解をもとに考える。
あの「三十七階から目薬」のブラックオクトウバー、発案者は亜友?


 要するに、

亜友 「岡澤は私の知的障碍を治した。私が岡澤の記憶喪失を治す。お父さん、お金出して!」


 あの亜友の性格を考えると、ありうる。


亜友 「TAMAKI、野坂、お願い岡澤の記憶喪失の治療に協力して!」

TAMAKI 「落ち着け。そもそもお前の知的障碍だって、岡澤が治したと決まった訳じゃない」

亜友 「大丈夫。岡澤のやった方法を真似すれば、岡澤の記憶喪失も治る!」

野坂 「止めないんですか。お父さん」

亜友・父 「私の娘だ。止めて聞くような性格じゃない」



 すると、
「羽生=内村(=武田君)が怪しい」というのは、亜友の推理?

 名誉毀損まがいの推理。
「亜友・父が雇った探偵説」と、「亜友・父本人説」があったが、実は亜友の推理?

 亜友の反社会的行動。
いや、「岡澤はストーカーだ」と学校中を走り回った娘は、この程度で躊躇はしない?


 これを想像しての、率直な感想は、
女子高生2人に旅客機を緊急着陸させた、劇場版コナン。 −銀翼の奇術師だっけ?−

 どんなに、亜友が岡澤を妄信していたとしても、
こんな史上初の7次元空中ブランコ、痛い目を見てくれないとギャラリーが納得しない?

 ああ、それで、探偵のハニートラップ candy trap を・・・・・・

同窓生たちの逆鱗に触れる天才というか・・・・・・



 それで9月、岡澤は誘拐犯の名前を website に掲載。
ところが犯人逮捕で騒ぎにならないのを見て、自分が推理を間違えたのだと青ざめる亜友

 ちなみに、岡澤の方は別のことを考えていて、
「これだけ政界に波及した騒ぎなんだから、すぐに犯人逮捕とはいかないさ」と。


 推理を間違えたんだと思いこんだ亜友は、
「このままじゃ岡澤が逮捕されちゃう。私にも名誉毀損の容疑がかかる!」と虚偽の陳述書提出

 この状況を見て、「メシウマ」な方々。

 一方で、亜友を信じた岡澤は反対尋問され、
岡澤の逮捕を心配した亜友・父娘は、横浜地方裁判所の609号法廷に、岡澤を助けに来た。



 待てよ。プロデューサーが亜友・・・
ああ、だからあのシナリオで、あれだけのストーカー騒ぎが見事に割愛されたんだ!

 ・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・いえ、何でもありません。





 さらに、もう1つ、気になっていること。
この推理は亜友の単独犯ではなくて、後ろにY子ちゃんがいたりしない?

 亜友は、Y子ちゃんにだけは、頭が上がらない。
Y子ちゃん本人が、「Y子ちゃん=女神」説を知らないとも思えないし、推理好きでしょ?

 ぼくが、「Y子ちゃん=女神」説を書いている以上、
亜友がY子ちゃんのご神託に従って、ゲーム制作したなら、ぼくは責めることができない。


 亜友も、頭の良いY子ちゃんの助言が欲しい。
Y子ちゃんも、亜友が責任をとってくれるなら推理小説の主人公気分を味わいたい

 他には、「夏仕舞冬支度」の権兵衛君。
「西行は女々しい感じがして」という表現は、4期か5期生の女の子から聞いた覚えがある。




 なるほど。解明は出来たが、「これで良いのか法治国家!」














 そして、亜友・母の冤罪事件だが、
亜友・母だって、警察顔負けの厳しさで、亜友・父の取り調べにあたったじゃない

 そして、それを真似した娘の亜友は、
やはり警察顔負けの厳しさで岡澤を追及して、「岡澤はストーカーだ」という結論を得た。

 ところが、泥棒猫の達弥は男であり、
傍観していたY子裁判長を感激させるほどに、美しい冤罪事件だったという結末もある。


 −亜友・父も、警察を責めたりしないと思うよ−





 なお、些細なような、些細でないような話だが、
このページのファイル名、"chiaki" ではなく "chisato" だったかもしれない

 ジブリでお馴染みの "chihiro" ではなかった気がするが、
亜友・母の名前が「王」偏だったか立「心」偏だったかすら、調べる気力が起きないのだ。

 「玲」奈ちゃんと違って、立心偏だった気がするのだが・・・

亜友 「そんな探偵で大丈夫なの?」
岡澤 「漢和辞典を調べるのは探偵に必要な素質ではない!」

羽生 「玲奈ちゃんのダイイングメッセージが、『心』だったら?」
岡澤 「そんなコナンのような暗号が、現実に通用してたまるか!






 ところで、亜友の思い込みなのだが、

1 岡澤は、私に隠れて浮気している!

2 岡澤は、お父さんの財産目当てで、私のことを庇ったんだ!

3 私のお母さんが、岡澤の最愛の恋人を殺したんだ!


・・・・・・年々、悪化していないか?


 そのうち、「UFO!」とか言い出して、

♪ 不思議なことが度々あるの もしかしたら もしかしたら そうなのかしら〜

とか、「岡澤=宇宙人説」を展開しないか心配である。


♪ それでも良いわ 近頃少し 地球の 男に 飽きたところよ!

 まあ、岡澤の方も、
探偵雇ったり、数学科は自殺すると騒いだり、年齢を間違える地球の女に飽きた



 元ネタは、ピンク・レディです。ハイ。







 結末が見えてきました  「奇妙なフラグ」












 物語に気付いたのは、7月末。
顔馴染みの福島弁護士に、小笠原の任意同行の話をしていたときのことだ


弁護 「そこで警察が、君の指紋を欲しがるのは変だなあ」
岡澤 「そうですか?」
弁護 「その佐藤玲奈ちゃんは、本当に自殺なの?」


警察の指紋採取に気付いた岡澤が、愚痴をこぼしていたときの話。



 確かに、岡澤の周囲だけで2人の自殺者は多い。
だが、自殺に見せかけた連続殺人容疑にしては、小笠原での取り調べは甘い

 などと、新幹線の中で考え事をしていて、
「玲奈ちゃんの死」と「亜友・母の死」は並列ではなく、因果関係ではないかと考えた。

 亜友・母が、玲奈ちゃんの死を知ったとすれば、
「福島弁護士が言うとおり、玲奈ちゃんは殺され、亜友・母に容疑」という線が浮かぶ

 そこで、岡澤は玲奈ちゃんが殺害されたと確信し、
高校1年当時に聞いた噂話から警察の捜査情報を復元すると、約1ヶ月で実行犯に気付く。





 元数学オリンピック日本代表候補の知能を甘く見るな。
警察から情報を抜き取るまでもなく、犯行の詳細と証拠の有無くらい復元できる



 ただ、亜友・母の無実を証明したのは、
自分の杖を羽生・父の病院に寄付すると申し出た、中学3年当時の岡澤の機転じゃない?

 また、羽生・母も警察の容疑者リストに入っていたろう。
「自分を容疑者リストから外すため、自分の息子を殺害した母親」くらいなら、前例があるはず。













 さて、最後に表題解説



 例えば、この話には裏があって、
実は、父親であるお祖母ちゃんの息子に愛人がいて、という裏があったらどうする?



 五目並べや鴨なんばも良いが、
せめて孫娘に、「息子の教育を間違えたんは祖母ちゃんの責任や」謝ってから死ねや!

 そんな話、めったにないと言うが、
岡澤だって高校1年の冬に聞いた時、「まあ、そんな複雑な事情があるはずない」と思ったさ。

 でも、現実にはこういう話は多く、
だが経済が発達したおかげで、子は父親の浮気調査より、与えられた玩具に夢中になる



 この話は、父親だけではない。
米国の産科医で出生した赤ん坊の約1割に、父親と血液型が一致しなかった報告もある

 だから祖父母は、孫娘に優しいのであり、
「これを『愛』だと思いこんだまま大人になる娘が多いから、離婚率が高いのです」という話だ。

 16歳の岡澤は、亜友の「トイレの神様」話に、
瞬時に亜友・父の隠し子の存在を疑ったのだから、これは最近の若者の感覚が鈍いだけだ



 そういえば、思い出した話を書くと、
亜友・母と亜友・祖母が、2人で手分けして包んだ、その冬のバレンタインのチョコレート

 その、不自然な家族の仲に岡澤が、
「やっぱり君のお父さんには、隠し子でもいるんじゃないの」と軽口を叩いて、怒られた記憶。

 ところが亜友は、大学3年の夏、
4年前の岡澤の予言通りに父親の隠し子の存在を知らされ、両親の愛が信じられなくなった。



 確かに、亜友も言ったはず。
「いつも喧嘩ばかりしている両親はともかく、お祖母ちゃんの親切の悪口まで言うのは止めろ」と。

 植村花菜さんに敵意はないけど、
祖母の愛を無条件に受け入れて批判も許さないという発想なら、それは単なる儒教だからね

 あえて水をさすのも悪趣味だが、
「信じたくない真実と冷や酒は後で効く」から、そういう軽口はたたいておいた方が良い。





 こんな似非美談はまだ甘い  岡澤代祐にまつわる −善意の嘘−







小川三四郎探偵事務所
代表取締役社長 岡澤代祐
sanshiro@sastik.com